『遙かなる山の呼び声』ロケ地/焼肉屋ひろみ獣医の畑正憲さんが電話を受け取った場所は台本では自宅設定になっている。高羽カメラマンの台本によれば「焼肉屋ひろみ」となっていた。場所不明。 『遙かなる山の呼び声』ロケ地/札幌「そして冬」判決公判の朗読が始まる前の冬景色は、札幌第2合同庁舎と札幌高等裁判所(地方裁判所)前の大通西10交差点付近。 設定は函館地方裁判所と思っていたが、台本では札幌地方裁判所になっていた。 この冬、北海道は暖冬で雪が少なく、積雪となった翌年1980年1月に撮影されたようだ。 裁判所の入口は札幌高等裁判所(地方裁判所)。 撮影地点の下に駐車場があり、その先の交差点に3列で車が信号待ちをしている。 その手前に植え込みがあり、先には札幌高等裁判所の入口屋根に雪が積もっている。 更に先には札幌高等検察庁の建物の一部が見える。撮影された手前の建物は札幌第2合同庁舎になる。 『遙かなる山の呼び声』ロケ地/弟子屈駅網走へ護送される高倉健(田島耕作)、護送刑事役の下川辰平(なべ)と笠井一彦。 『太陽にほえろ』のチョーさんと『幸福の黄色いハンカチ』新得警察署の警察官だから適材適所だ。 「てしかが」と弟子屈町役場近くの鉄塔が見える。弟子屈⇒斜里方面に走っている。 列車内撮影ロケは釧網本線で行われた。 <参考:遙かなる山の呼び声> 映画では急行大雪が遠軽駅に停車しているように思えるが、 映画の設定駅は美幌駅で、中標津町からだと石北本線の最寄駅である。ラストシーンは弟子屈駅でのロケ。 車掌案内「網走からの連絡列車は、湧網線中湧別行き普通列車は19時29分、2時間5分の待ち合わせ」 と流れる。網走駅到着は17時24分になるので、ひと駅前ならちょうど腹がへる時間帯で 弁当を食べる設定になったんだろう。冬季なら美幌駅案内だと日没後のはず? 釧網本線弟子屈駅(現:摩周駅)よりハナ肇(虻田)と倍賞千恵子(風見民子)が乗り込む。 下川辰平セリフ「捕まったのは、確かこの辺だったな」 笠井一彦(田島耕作の護送刑事役)が駅弁とお茶を買う場面がある。 この弁当を売っていたのは、当時弟子屈駅前にあった青木待合所と呼ばれていた青木商店。 (参考:交通公社の時刻表1980年1月1日発行1月号) 札幌発11時0分の急行大雪3号で、網走へ護送する設定になる。 下川辰平(なべ)のセリフ「あと一駅か」は、やっと到着するという安堵の意がくみ取れる。 ◆ 車掌案内「網走行き急行大雪、次の停車駅は終着駅網走です、次の停まる駅は終着駅網走です」 同じ時刻で運行していた急行大雪は終点釧路駅行きで、映画は架空の設定になる。 『遙かなる山の呼び声』ロケ地/弟子屈町車掌案内「次の停車駅は遠軽です」が始まる場面は、釧網本線南弟子屈駅と弟子屈駅の間。 昭和52年航空写真と映画撮影時の冬では建物の様子が少し違うが、遠方に釧路川(と思う)が見える。 場所は、弟子屈町弟子屈原野35線西。現況では右側の家はない。 『遙かなる山の呼び声』ロケ地/斜里町川上車掌案内「次の停車駅は遠軽です」の最後の場面は、釧網本線南斜里駅と中斜里駅の間。 昭和52年航空写真と映画撮影時の冬では建物の様子が少し違うが、遠方の景色もほとんど合致。 建物所有者は大町さんで、2012年離農された。大町さんは自宅が映っているのをご存じだった。 場面に赤いトラクターが動いているのは大町さん運転のトラクターだそうです。(ご本人談話) ロケ地訪問は⇒ 『遙かなる山の呼び声』ロケ地/遠軽町生田原『遙かなる山の呼び声』ラストシーンの列車空撮は、石北本線遠軽町生田原豊原で生野駅と生田原駅の間。 石北本線と平行に走っているのは国道242号線。 ◆ 『遙かなる山の呼び声』の前作に『幸福の黄色いハンカチ』がある。映画製作放映とは逆転するが、 『幸福の黄色いハンカチ』は網走刑務所から出てきた男が女の元に帰るという話で、 登場人物名は異なっていても、物語的には『遙かなる山の呼び声』の続編のような気がする。 『故郷』⇒『家族』⇒『遙かなる山の呼び声』⇒『幸福の黄色いハンカチ』と物語は連載物のようにも思える。 ◆ 玉井裕志著「萌える大草原」(1987年)には映画『遙かなる山の呼び声』製作経緯が書かれています。 〜〜〜巻頭に山田洋次監督が寄せた「玉井裕志さんと私」より〜〜〜 ー北海道の酪農は、もう行きずまっているのですよ。 初対面の玉井さんが最初に言った言葉がそれだった。 1970年『家族』の下準備で根釧原野を訪れた時のことである。 〜(中略)〜 もう一度根釧原野を写したい、あの広々とした土地にゆっくり腰を据えて、玉井さんの生活を描いてみたい、 という私の願いは、倍賞千恵子、高倉健主演の『遙かなる山の呼び声』という作品に実を結ぶことになる。 〜(中略)〜 “篤農”という言葉にふさわしい人物が、農村から姿を消しつつあるように思えてならない。 国鉄解体の次には、日本の農業に狙いを定めている今の政府権力者たちにとって、 玉井さんのような、農業と自分の生き方を重ね合わせながら真剣に思案し、 誠実に生きようと願っているような人は、むしろ邪魔者なのである。 ◆◆ 山田洋次監督映画で根釧原野で撮影された映画が他にもある。 『男はつらいよ知床慕情』(38作目1987年=昭和62年)で、離農する酪農家や 牛のお産の瞬間が寅さん(渥美清)と獣医(三船敏郎)と共に中標津町で撮影された。 この中で、獣医(三船敏郎)の電話セリフに「はい?ああ、玉井さんか、今取り込んでてなぁ、すぐ行く」 というのがある。山田洋次監督ならでは、玉井裕志さんを想像させる一幕である。 玉井さんにこのシーンについて尋ねると「そうです、あれは私のことなんですね」とうれしそうに話された。 ◆ 更に山田洋次監督が脚本された『釣りバカ日誌20ファイナル』(2009年)の中で、 獣医(吹石一恵)の携帯電話セリフに「玉井さんね、すぐ行きます」と名前が使われていたのはサプライズだ。 映画『遙かなる山の呼び声』台本(高羽哲夫カメラマン遺品より) |
高羽哲夫記念館=湯川たから館(福島県湯川村大字勝常字堂後830番地)に | 高羽さんが使用された遺品が展示されています。 主な登場人物キャストは印刷、黒字は手書き、【 】は追加。 田島耕作・・高倉健 風見民子・・倍賞千恵子 武志・・吉岡秀隆 ◆ 田島(台本は島田となっている)駿一郎(耕作の実兄)・・鈴木瑞穂 民子の義兄・・中川弘【中川牧場】(ノンクレジット) その妻・・【中川牧場】(ノンクレジット) 【その息子・・中川一平(中川牧場)】(ノンクレジット) 【息子の妻・・(中川牧場)】(ノンクレジット) 【孫・・(中川牧場)】(ノンクレジット) ◆ 虻田太郎(北海料理「オホーツク」社長)・・ハナ肇 次郎(その弟)・・【神母英郎】 三郎(その弟)・・粟津號 ◆ 勝男(民子の従弟)・・武田鉄矢 佳代子(勝男の新妻)・・木の葉のこ ◆ 福士(民子の隣人)・・小野泰次郎 福士房子(その妻)・・杉山とく子 福士ひとみ(その娘)・・大竹恵 ◆ 獣医・・畑正憲 近藤(人工授精師)・・渥美清 ◆ 競馬場の刑事A・・園田裕久 競馬場の刑事B・・青木卓 列車の刑事A・・【下川辰平】(台本書き込みは園田裕久) 列車の刑事B・・【笠井一彦】(台本書き込みは赤塚真人) ◆ 寺の僧侶・・ 病院の医師・・ 病院の看護婦・・ 上武佐駅の農夫・・(ホンモノ) 朱美(キャバレーの女)・・ こずえ(キャバレーの女)・・ ◆ 移動スーパーの運転手・・ 小学校の教師・・(ホンモノ) 競馬場の係員・・【藤林高英(養老牛温泉藤や)】(ノンクレジット) 裁判官・・入江正夫 【上段に書き込み、高木信夫・土田桂司】(検察人と弁護人か?) スキー客の若者・・【篠原靖夫】 駅弁売り・・【青木商店】(ホンモノ) 当サイトはリンクフリーです。 | 当サイトに掲載した「家族」「遙かなる山の呼び声」ロケ地は映画場面と当時の航空写真を照合して探査しました。 ロケ地照合探査のため、場面解説に映像(「家族」「遙かなる山の呼び声」と明記)を使用し、 国土交通省空中写真(国土交通省航空写真と明記)を利用しました。 映像の著作権は、映画(製作・配給)会社に帰属しています。 ◆ 2018年9月10日朝、玉井さんから私に電話があった。 11月に新刊「玉井裕志作品集」を出されるというものだった。 私は早速予約した。そして2018年11月11日に新刊「玉井裕志作品集」が玉井さんから届いた。 「玉井裕志作品集」(全7作品390ページ)の中には「萌える大草原」も掲載されています。 そして2019年10月7日、玉井さん(85)に3回目の訪問をすることができた。 再び2019年11月28日朝、玉井さんから私に電話があった。 11月に新刊「玉井裕志作品集 第二集」を出されたというものだった。 私は早速予約した。そして2019年12月1日に新刊「玉井裕志作品集 第二集」(全444ページ)が玉井さんから届いた。 ◆ 第63回(令和2年2020年)農民文学賞(小説の部)に玉井裕志さん「風の旋律」が受賞された。 この作品は「玉井裕志作品集」に掲載されている。 お便りは滝沢農園Since2012/3/12 |