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映画『冬の華』ロケ地探訪
降旗康男監督、高倉健主演映画『冬の華』(1978年=昭和53年)のロケ地。
ロケ地説明のため映像には映画タイトルを入れています。俳優の敬称略。
映画『冬の華』は横浜を舞台に描かれています。脚本は倉本聰。
高倉健さんにとっては『幸福の黄色いハンカチ』の次にドラマ『あにき』(脚本は倉本聰)があり、
その次の作品で上映された映画です。
映画『冬の華』ロケ地/横浜
加納秀次(高倉健)が15年の刑期を終え、横浜駅で降りる。
タイトルバックの横浜の風景。旧国鉄貨物線が見える。
よく間違われるがこの風景は「港の見える丘公園」からの撮影ではなく、
当時の横浜駅東口にあった建物で(現:横浜シティエアターミナル、マルイシティ))の場所にあった展望台で
横浜スカイビルにあった回転レストランと思われます。
タイトルバックの旧国鉄貨物線は現在みなとみらい地区になった。
首都高速横羽線が横浜公園出入口まで開通したのが昭和53年3月のことである。
余談になるが、ハイファイセット(山本潤子)の歌に「スカイレストラン」(1975年)がある。
作詞はユーミン。横浜スカイビルにあったレストランのことだと私は思っている。
また横浜と言えばユーミンの「海を見ていた午後」(1974年)には山手(実際は根岸)のドルフィンが出てくる。
港の見える丘公園としてはオフコースの「秋の気配」(1977年)がある。
◆
タクシーで元町の前田橋を通過し、加納秀次(高倉健)が山手町の代官坂上でタクシーを降りる。
(写真は2017年10月15日撮影)残念ながら代官坂上から今はマリンタワーの頭しか見えません。
◆
そこから歩いて元町公園前にある山手聖公会前で犬を連れた人に道を尋ねる。
方向が合っていないが、次にマリンタワーが見える外人墓地脇を歩き、
外人墓地の門のところで南幸吉(田中邦衛)が用意したマンションにたどり着く。建物名はカーネルスコーナー。
(写真は2017年10月15日撮影) でもマンション入口は別の場所です。
外から見た窓サッシと内部の窓サッシの位置が一致していないので一目でわかります。
当然ながらロケの昭和52年〜53年には首都高速狩場線も湾岸線もできていない。
左が加納秀次(高倉健)が窓からマリンタワーを見ているシーン。右が夕暮れシーン。
どちらも手前のビル(横浜中税務署)が見える事と、一直線上にブラフ100マンションの屋上部分と
思われる建物が見えることから、公務員山手宿舎から撮影されたものと思う。
右の風景は左と撮影位置が同じで「港の見える丘公園」からの撮影ではない。
「港の見える丘公園」からは樹木が邪魔して横浜中税務署ビルがこの角度で映せません。
映画『冬の華』ロケ地/横浜市元町
加納秀次(高倉健)が親分の坂田良吉(藤田進)から出所祝いに絵画をもらい街を歩く。
左が前田橋の近くの元町。右が前田橋を元町へ向かって歩いている。
前田橋から谷戸橋方向に撮影されている。見えているビルは横浜中税務署ビル。
そして馬車道のコンチェルトへ・・道順がほとんど逆になっている。
(写真は2017年10月15日撮影)
映画『冬の華』ロケ地/横浜山手教会
竹田乙彦(三浦洋一)と加納秀次(高倉健)が車で、松岡洋子(池上季実子)を見に行く外人墓地脇。
松岡洋子(池上季実子)が学校から出てくる場面。カトリック山手教会の鐘が鳴る。
(写真は2017年10月15日撮影)
映画『冬の華』ロケ地/京都山科区:京都東急イン
撮影協力に京都山科区上花山旭山町にあった京都東急インがある。
京都東急インは取り壊され、パデシオン山科夢ケ丘マンションになっている。
三枝信吉(岡田眞澄)が牛乳割りブランデーを飲んでいる場面。
ここが京都東急イン。国道1号線をまたぐ連絡橋とバックに赤い三角屋根が見える。
他にも加納秀次(高倉健)と南幸吉(田中邦衛)がレストランで食事をしているシーン、
加納秀次(高倉健)と立花道夫(夏八木勲)がバーで話しているシーン等がロケされたと思う。
映画『冬の華』ロケ地/京都円山公園:長楽館
馬車道のコンチェルトの設定の喫茶店(内部)は京都円山公園:長楽館カフェ。
中華街で南幸吉(田中邦衛)と食事をした加納秀次(高倉健)が帰宅する途中、
高畑哲次(青木卓)に後をつけられ、襲われそうになり逃げる。
車の中にいた竹田乙彦(三浦洋一)に助けられる場面には、長楽館の看板が映っている。
この時はじめて、竹田乙彦(三浦洋一)が南幸吉(田中邦衛)の舎弟であると知る。
設定は横浜なのだが、ロケは円山公園長楽館前と長楽館敷地内である。
映画『冬の華』ロケ地/京都同志社:アーモスト館
松岡洋子(池上季実子)の学生寮の設定。
<参考:
同志社アーモスト館
>
映画『冬の華』ロケ地/京都祇園:梅の井
親分の坂田良吉(藤田進)と小村が会った赤坂の料亭設定でロケされた場所には、
京都うなぎの「ぎをん梅の井」の看板と暖簾(のれん)が見える。
親分の坂田良吉(藤田進)と立花道夫(夏八木勲)が「ぎをん梅の井」から出てくる場面。
ロケ当時は京都東山区大和大路通四条上ル(四条通の祇園四条駅、南座の近く)にあったようだ。
「ぎをん梅の井」さんは現在円山公園内に移転されている。
(ロケ地は住所表記では京都市東山区常盤町160)
Google画像2009年11月撮影を資料として掲載しておきます。
映画『冬の華』ロケ地/京都祇園:ギオンプラザ
飲み屋街の設定は伊勢佐木町かいわいになっていると思う。
柿沼三郎(小林亜星)と一緒に飲みに行った組員向井大介(岩尾正隆)が
「マイクが欲しけりゃ力でとってみなって言いやがった」の後、「マイクもらうぜ」と
犯行に及んだ場所が京都祇園町ギオンプラザ前。
(ロケ地は住所表記では京都市東山区祇園町北側272のあたり)
京都東山区花見小路通四条上り、1本目を右折。
右側のドアは2016年8月現在、串カツ「祇をん屋」さんになっている。
Google画像2016年8月撮影を資料として掲載しておきます。
映画『冬の華』ロケ地/横浜大黒埠頭
親分の坂田良吉(藤田進)が油絵を描いていた埠頭が大黒埠頭。
大黒埠頭と大黒町に架かる赤い大黒大橋が見え、横浜火力発電所が見える。
加納秀次(高倉健)が坂田良吉(藤田進)に足を洗う考えを伝える。その時に
坂田良吉(藤田進)から息子の坂田道郎(北大路欽也)のことを守ってくれと言われる。
当然ながらロケの昭和52年〜53年には首都高速大黒線も湾岸線もできていない。
大黒線ができたのは平成元年9月である。
映画『冬の華』ロケ地/横浜山下公園
竹田乙彦(三浦洋一)と松岡洋子(池上季実子)がラーメンを食べ、歩いた場所。
映画『冬の華』ロケ地/新宿区
加納秀次(高倉健)が兄(大滝秀治)に会いに行く場面。新宿の高層ビルが見える。
次の場面は渋谷なのに新宿が先に出た意味を考えると
加納秀次(高倉健)は15年の刑期で旭川刑務所を出たことになっていて
新宿の変わりつつある高層ビルを見て(きっと浦島太郎状態で)時代の変り様を見たということなのだろう。
映画『冬の華』ロケ地/渋谷区
加納秀次(高倉健)が兄(大滝秀治)に会いに行く場面。
大半の人が、ここは新宿に近い場所であると見られていると思うが、
古い家並みの先に、渋谷にある渋谷クロスタワー(当時:東邦生命ビル)が見える。
そして高架の脇を歩いている。渋谷区東の東急東横線の高架下。
映像には住所表記のところにザル(たらい)のようなものがかけてある。「東29」の文字が読み取れる。
(写真は2017年10月14日撮影)渋谷区東から見た渋谷クロスタワーと旧東横線脇道
◆
親分の坂田良吉が言っているように、律儀にも加納秀次は兄に出所報告をするために手土産持参で会いに行く。
そして兄が出てくるまで線路脇で待っている。なんて律儀な人物像である。
加納秀次(高倉健)と兄(大滝秀治)が公園で話している場面には、
東急車両の急行が通過する。電車の西側に井上製作所の看板が見え、その先に公園がある。
「井上製作所」で検索すると、昭和45年に渋谷3丁目に移転と出ている。
渋谷区渋谷3−25にある並木橋児童公園(正式名は並木橋児童遊園地)。
(写真は2017年10月14日撮影)線路越しの盛土部分と架線からすると渋谷清掃工場の門の位置にあたる。
「井上製作所」看板が取付けてあった箇所に痕跡が残っている。
(写真は2017年10月14日撮影)渋谷区渋谷3−25にある並木橋児童遊園地。
◆
この2場面より、兄(大滝秀治)の家がこの近所の山手線の内側にあると予想されることから
当時の航空写真で照合してみました。一致する場所がありました。
(現:住所表記では渋谷区東1丁目)
現在では東横線は地下に入り、住宅地は渋谷清掃工場に変貌しています。
◆
この場面で「おふくろの居場所がわかった」と大滝秀治さんが言っていることから
二人の関係は兄弟であることになる。大滝さんは父親ではありません。
映画『冬の華』ロケ地/横浜赤レンガ倉庫
立花道夫(夏八木勲)や竹田乙彦(三浦洋一)、ミナケン(峰岸徹)らが、山本武彦(寺田農)から
親分の坂田良吉(藤田進)殺しに関わった画廊を聞き出したロケ地が、横浜赤レンガ倉庫2号館のところ。
映画『冬の華』ロケ地/
冒頭、加納秀次(高倉健)と松岡(池部良)、南(田中邦衛)と松岡の娘がいる海岸。
日照から九十九里浜と思われたが、鳥取砂丘でクランクインしたらしい。
当サイトはリンクフリーです。
当サイトに掲載した「冬の華」ロケ地は映画場面と当時の航空写真を照合して探査しました。
ロケ地照合探査のため、場面解説に映像(「冬の華」と明記)を使用し、
国土交通省空中写真(国土交通省航空写真と明記)を利用しました。
映像の著作権は、映画(製作・配給)会社に帰属しています。
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