滝沢農園
ぶどう・梨
デラウェアの栽培方法
デラウェアのジベレリン処理適期
巨峰の栽培方法
ぶどう(巨峰)の栽培方法
巨峰にも種類がいくつかあり、高墨(たかすみ)という品種で、昭和62年に植え付け樹齢25年。
巨峰は有核栽培(種あり栽培)で、プロでも栽培が難しい有核栽培です。
巨峰は秋のせん定で5割、秋の元肥で2割、開花時の天候2割で結実がほぼ決まってしまうとも言われています。
一般的な巨峰の有核栽培方法で、無核(種無し)栽培方法とは異なります。
◆
平成27年3月13日雪害によりハウス倒壊。巨峰樹木が根本から折れ、
30年程栽培していたハウス栽培断念。平成27年4月に水田に戻しました。
閲覧数が多いので栽培記録として残します。
巨峰 ハウス張り
平成21年3月1日撮影 巨峰のハウスの面積は22アール3連棟で、換気口の窓はデラウェアハウスと形状が違います。
雨が降ると換気口を閉じなければならず、近年は全面型のハウス形状が増えています。
ちなみにパイプは、Φ31.8mm、スプリングバネ(1本=1.8m)を入れる鋼材が、ビニペットと呼ばれるものです。
柱材は、Φ38mmまたはΦ48mmを使用しています。
作業場前の小さいハウスは、稲の育苗ハウス(3アール)です。約900枚の苗を育てられる面積です。
巨峰の生育
平成21年4月9日撮影 3月末頃より発芽期を向え、いよいよ展葉期に差し掛かりました。
巨峰の葉は、500円玉くらいの大きさになると、1葉(1よう)2葉(2よう)と数えます。
また、ひとつの芽から主芽と副芽が出ます。これを主芽だけ残し、副芽を欠いてやります。
これを
芽かき
と呼んでいます。ところが、気候的なもので、霜が降りる事が予想され、
もしかの用心のため、少し遅めの芽かきをするようにしています。
平成21年4月14日撮影 巨峰の葉は1房目を4葉、2房目を5葉と数えます。
芽かき
をしました。4葉〜5葉くらいです。
左が平成21年4月20日撮影、6葉〜7葉です。房の形も大きくなり始めました。
右が平成21年4月29日撮影、8葉〜9葉です。
デラウェアと田んぼの代かき〜田植えなどの仕事とかち合わないように少しハウスの温度を下げ、生育を遅らせました。
上が平成21年5月3日撮影、9葉〜10葉です。一番生育の早い新梢で10葉です。
この時期に右側の写真の
フラスター(植物成長調整剤)
を散布します。
希釈倍数は、木の樹勢により薄目にする事もありますが、おおよそ1000倍〜1200倍で使用しています。
今年は、やや樹勢があり1000倍(水100Lに対して1本)にしてみました。
このフラスターは、新梢が伸びようとする勢いを巨峰の房の方に調整する効果があり、
散布より約2週間ほど持続するという事を聞いています。
ぶどうの花は、一番生育の早い新梢が約13葉で咲き始める事から、予想では1週間後が咲き始めです。
よって満開が2週間後までに来ると予想します。この適期の読みも一種の“賭け”でもあります。
露地栽培の場合はハウス栽培とは違い、日中温度が違います。
このため開花予想日の1週間ほど前に散布する事が望ましいと思われ、葉数での判断による散布に違いが見られます。
巨峰の房作り
平成21年5月3日撮影 開花1週間前くらいから写真のように、@肩切りをします。
これが終ると満開期までに青色の部分の枝梗を15〜17段残し、Aの部分の上部枝梗とB房尻を切除します。
これは、巨峰の房が
にぎり房
と呼ばれる、最も形の良い房となるように、
ぶどうのオーキシンの分泌を促し、結実性を高める方法です。
太めの新梢や長い新梢は、1番目と2番目の2房とも作ったり、
中庸な新梢は1房だけにしたりして、樹勢を見ながらの房つくりをします。
平成21年5月7日撮影 巨峰房作り前と房作り後の状況写真です。一番生育の早い新梢でほぼ12葉です。
この作業をすると、手は棚に上げっぱなしで、朝から夕方まで立ちっぱなし。
立っていて肩と腰が痛くなってきます。棚仕事は、根気のいる仕事です。
巨峰の花
平成21年5月9日撮影 巨峰の花が咲きました。予定通りの開花となりました。
平成21年5月13日撮影 巨峰の花もキャップを脱帽する形で、めしべとおしべが顔を出します。
おしべは5本程度あります。めしべから密が出て、おしべの黄色い花粉がつき自家受粉します。
少し膨らんだめしべが受粉完了し、粒になり始めたものです。
ここで開花時に留意したい点は、受粉をスムーズに行ってもらうために、ハウス内の環境を整えてやる必要があります。
我が家では、開花時少し前から、地面に使用済み農ポリを敷き詰めます。これを
マルチ農法
と言います。
ハウス内が地面からの水分による湿気を少なくなるようにし、空気を乾燥させてやる事です。
種無しぶどうの作り方とは全く逆の管理をし、花粉を多く出させます。
もうひとつは、地面の水分が蒸発しないため、木にもやさしいと言う事でしょうか。
ハウスだからと言って、温度を高くしてはいけません。
20℃〜25℃くらいが一番開花しやすく、受粉しやすい環境なのです。
巨峰の摘粒
平成21年6月15日撮影 満開後約1ヶ月が経ちました。
開花期から摘粒するまでの間に
誘引
という作業をします。これは天井に伸びようとする枝を棚に結んでやります。
若い枝のうちからやると枝が折れやすくコツがいりますが、
暖かい日中にやると枝がやわらかい状態にあり誘引しやすいものです。
巨峰の
摘粒
は、1房が28粒から32粒を目標に、最終重量が350g〜400gくらいになるように粒を調整します。
その前に、1枝に1房づつにして、その後に適正な着荷量(坪当り13房〜14房)になるように
摘房
します。
(房ごと落とします。)一般の人から見れば、なんてもったいないと思われることでしょう。
巨峰は1粒で葉を1枚必要とします。棚が暗いからと言って
結果母枝
から出ている枝を落とす事は、
着色に重大な影響を及ぼし着色しなくなります。
棚が暗いと思われるときは、着色期に入ってから、葉数で20枚目あたりを
摘芯
すると良いでしょう。
着色期に入る前にそれらを行うと、樹があばれてしまい、着色期が遅くなる傾向があります。
余りにも樹があばれて枝ばかり伸びるような状態の場合は、水を与えるのをやめ、樹をいじめてやるのも方法です。
巨峰の袋かけ・笠かけ
巨峰にICボルドー(石灰硫酸銅)散布するため(べと病対策)に袋かけを行って、
ICボルドーが果実につかないようにします。
また笠かけを行い、棚上からICボルドーを散布する農家も多いですが、我が家では袋かけを行い、
最終的に残す房(坪あたり約13房)を決め、その後にICボルドーを散布します。
芸能人は歯が命 ぶどうの巨峰は葉が命
ってことです。
またその後に袋を取り外し、笠かけを行い、ハウスの被覆を除去します。
ハウスの被覆除去は7月4日に行いました。
袋を取り外した6月26日には、すでに
飛び玉
の着色が見られました。
飛び玉
とは、着色開始となる時に、ポツンと色の入った粒の事を言います。
飛び玉
が見られるのは当園では過去10年間データより満開期から42〜43日後です。
巨峰の着色期
平成21年7月11日撮影 無加温ハウス栽培で最も着色が進んでいる房です。
収穫は8月6日からを予定しています。それまでに仕上がってくれる事を期待しています。
写真のように巨峰は、一粒づつ着色が進んでいきます。
平成20年8月5日撮影 巨峰収穫期直前の様子です。
ぶどうには自根と台木がある
ぶどうの木には、せん定した枝を地面にさして自ら根をはり、木になった
自根
(じこん)と、
根の部分が
台木
と呼ばれる木から出た枝に、ぶどうの品種の枝を接いだ木があります。
一般には、台木に接がれた苗木を買い育てます。
ぶどうの葉の病気/べと病対策
ぶどうの葉の病気に、
べと病
というものがあります。
葉の裏側が茶色に変色してくるもので、最終的には葉が散ります。
主に夏の雨や湿気と日光の暑さにより、葉が負けてしまう症状のようですが
高温多湿になると症状が一挙に出ます。高温多湿になる前に風通しを良くし
防除には、ICボルドーが効果的です。
◆
ただし、散布する前にはぶどうに袋かけを行う必要があります。
または、たな上から散布する場合は、笠かけを行い、ぶどうにICボルドーが付着しないようにしなければなりません。
べと病
は葉の裏側についてしまうもので、葉の裏側に散布しないと効果は少ないでしょう。
葉を早く落とした場合は、来年の種枝にも影響するため、ぶどうの葉を長く保つには、ICボルドーが一般的です。
巨峰とピオーネの葉の違い
巨峰とピオーネの葉は栽培の段階で
この木はどちらだったかと思う人はいませんが、葉の形状で見分ける事ができます。
左が巨峰の葉、右がピオーネの葉です。
左程違いが判りませんが、巨峰の葉よりピオーネの葉がツヤツヤしています。
また巨峰の葉の切り込みより、ピオーネの切り込みが深くなっています。
そもそもピオーネは種無し品種で、ジベレリン処理によって結実します。
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